あなたは自分の愛する者のために
      大切なものを捧げられますか?

















 
彼と一緒にいたいだけで、
その他にはなにもいらなくて。
ただその 永遠 (とき) があればよくて。
それ以外のときもただ、ただ彼のことしか考えていなくて………

なにもないなんて、ありえない。
欠乏が涙に変ってゆく。

近づきすぎた想いなんてないと信じているけど
その距離の重さに耐え切れなくて……

締め付ける鋼の触手を振り払いたくて、
ありもしない温もりを求め、手を伸ばす。
でもその先には、

まだ暗闇の中の先にしかない、
あるかもわからない。

だけど

もう

振り返る勇気なんてない。
振り返ることができれば、この想いはとっくにあきらめている。
回りなんて気にしている余裕はない。
もう私にはあなたしか目に入らないのだから。

そう………あなたしか。









 自分と関わりのあった相手が死ぬとき、その相手の記憶が全て消えるセカイに、私たちはいる。
 全てを管理され、感情や記憶までも管理された機械的なセカイに、私たちは生きている。
 もっともそんな高度なことは機械ではなく、特殊な超能力のようなもので左右されている。

 そのように管理している人は、過去の人に囚われ、心を傷つかないように、と、そうしたらしい。
 でも私たちはそれに疑問を持った。
 悲しみであれ、苦しいことであれ、私たちは全ての感情を受けれいれてこそ、「私たち」なのだと。
 誰であれ干渉は受けられない存在なのだと。
 それを証明するために、管理者と対峙した。

 お互いの意見は平行線をたどり、とうとう武力でしか解決できなくなった。

 できるだけ戦いは避けたい、とあなたは言ってきた。だから私もなるべく戦いを避けたかった。
 それに
 自分には戦いになれば戦わなければならない義務が生じてしまう。
 私には、相手の超能力のようなものを消してしまう力を持っている。
 争いは起きる前に、その争いの元を消してしまえばよい、と私は造られたのだ。
 戦いを終わらせるために、戦うために造られた。
 だから私ががんばらないと。





『もう………むりだよ』
 苦しくて、もう横になりたい。もう、こんなこと終わりにしたい。
 目の前の敵は強くて、他の仲間はみんな深手を負っている。今は私しか戦えるのはいない。私ががんばらないと。
 でも、一人で気を張るのは正直重荷だった。これ以上は身体の前に心が挫けてしまう。だって………
 あなたが……
『一人じゃ、ないからね?』
 ふっと、彼が私の背に手を添える。敵からの攻撃を受けて、腹の辺りから大量の血が流れている。そこをもう片方の手で押さえているが、流れる血を抑えることはできない。
 自分が痛くて、苦しいはずなのに、あなたは優しさのある声で私に言った。
『………でも……』
 自然と涙が溢れる。目の前の敵を倒せば、前々から思ってきた私たちの思いは叶うのだ。しかし、倒す前にあなたは私の中から消えてしまう。
 こんなにも愛しているのに。こんなにもずっと、ずっと一緒にいたいと思うのに。
 まだ好きだと伝えていない。
 まだ手すらつないでいない。
 キスだってしたかった。
 まだいろんなことをあなたと一緒にやりたかったのに………
 私は何もいえなくなってただただ首を横に振った。
『俺は、これからもちゃんと生きてくれれば、いいんだよ』
『……そんなのやだ。あなたがいない生活なんて……生きてないのと同じだよ……』
『一人じゃ、ないんだよ?』
 ずっと一緒にいるからね
 そんな想いが背中から流れ込んでくる。温かな、あなたの温もりが。
『私なんかが生きるより、あなたに生きて欲しかった…わたしみたいな存在なんて、これから何回も造れるんだから……あなたを造ることなんて、できないのに………!』
 あなたが私の耳ともで囁く。
『君は、きみ。僕だけのキミはここにしかいない』
 ぽろぽろと涙が溢れる。あなたの気持ちを受け止めきれなくてそのままそとに流れていく。
『だから、生きて。一緒に……』
 もう、なにがなんだかわからなくなった。涙のせいなのか、それすらもわからない。でも、次々と消えていくあなたの 記憶 (思い出) を必死に手放さないとしていた。
 私の中からあなたが消えていく。愛した時間も。好きであった想いも………
『いやぁあああああ――――――!!』
 背中から流れ込む想いを力に変えて、私は自分の想いを成し遂げるため……

 造られた意味をまっとうするため……


 ________との、想いを叶えるため………












 私は、いきている。










 このせかいで。





 大切なものとひきかえに。



















 でもそれは………


























2006.09.30





  あとがき    みないなもの
 恋愛ものが書きたい。最近はそればっかりだ。しかしいろいろと思うことがあって筆が進まないのが現状だ。
 本当はいろいろと言いたいこと(書きたいこと)があるのだが、個人的な精神の関係で書けないでいる。
 恋愛もので泣きたい。
 それが今の管理人の求めるものだ。